住所リストに最寄り駅を一括で付ける方法 — 駅データの入手先と距離の測り方
物件リストに最寄り駅を入れたい。顧客リストを駅ごとに分けたい。営業の担当エリアを沿線で切りたい。——こうした場面で、住所は手元にあるのに駅の情報だけが無い、という状態はよく起きます。
この作業、実は2段階に分かれています。そこを分けて考えると、どこで詰まっているのかが見えやすくなります。
そもそも「最寄り駅を付ける」は2つの作業
- 住所を緯度経度に変換する(ジオコーディング)
- その座標から一番近い駅を探す(最近傍探索)
1が要るのは、住所という文字列のままでは距離が測れないからです。「東京都千代田区富士見2-5-13」と「飯田橋駅」を文字として比べても、何mかは出てきません。両方を座標にして初めて距離が計算できます。
逆に言えば、住所の変換さえ済んでいれば、2はそれほど難しくありません。詰まりやすいのはたいてい1の側です(住所を緯度経度に一括変換する方法)。
駅のデータは無料で公開されている
駅の位置データを有料で買う必要は、多くの場合ありません。国土交通省の国土数値情報から無料で入手できます。実務で使いやすいのは次の2つです。
| データ | 入っているもの |
|---|---|
| 鉄道データ | 駅の位置、駅名、路線名、事業者名 |
| 駅別乗降客数データ | 駅ごとの1日あたり乗降客数 |
いずれも出典を明記すれば商用利用も可能です。乗降客数の方は、「この立地は人通りがあるか」を資料で示すときの根拠として使われることがあります。感覚ではなく公表値で語れるので、稟議や提案書との相性は良い、という見方ができます。
実務で効いてくる3つの注意点
1. その距離は「直線距離」かもしれない
一括処理で出てくる駅距離の多くは、2点を直線で結んだ距離です。地図上でまっすぐ線を引いた長さであって、実際に歩く道のりではありません。
不動産広告の「徒歩1分=80m」は道なりの距離が前提なので、直線距離をそのまま80で割ると実際より近い数字が出ます。特に次のような立地では差が開きます。
- 線路や川を渡る必要がある(踏切や橋まで迂回する)
- 大きな幹線道路を横断する(横断歩道まで遠回りする)
- 高低差がある(地図上は近くても階段や坂がある)
社内資料に載せるときは「直線距離」と明記しておくと、後で認識のずれが起きにくいと思います。
2. 「最寄り」が実感と合わないことがある
データ上で最も近い駅が、住んでいる人の感覚での最寄り駅とは限りません。よくあるのは、距離は近いが本数の少ない路線の駅が最寄りとして出てくるケースです。実際には少し遠くても、急行が停まる駅を使っている、ということは珍しくありません。
用途によっては、最寄り1駅だけでなく乗降客数も一緒に見ると判断しやすくなります。距離は近いが乗降客数が極端に少ない駅であれば、実際の生活動線は別かもしれない、という手がかりになるためです。
3. 同じ駅が複数の点に分かれていることがある
大きな駅では、路線ごとやホームごとにデータが分かれている場合があります。最も近い1点を採用する処理であれば結果は変わりませんが、駅名で集計しようとすると同じ駅が複数行に見えることがあります。沿線別に集計するときは、この点を確認しておくと安全です。
件数が少なければ、手作業で十分
ここまで書いておいて何ですが、10件や20件なら地図サービスで1件ずつ調べた方が早いと思います。しかも徒歩ルートで見られるので、上に書いた直線距離の問題も起きません。
一括処理が効いてくるのは、件数が3桁を超えたあたりから、あるいは同じ作業が毎月発生する場合です。1回だけの100件なら手作業でも終わりますが、毎月100件なら仕組みにした方が楽になる、という分かれ目だと捉えています。
CSVをアップロードすると、住所の右隣に「最寄り駅」「路線」「駅までの直線距離m」「乗降客数(日)」の列を付けて返します。
元の列名は変更せず、右側に追加するだけ。Excelでそのまま開けます。メール登録だけ・月100行まで無料です。
1地点だけ駅や周辺の様子を見たい場合は 商圏レポート(登録不要) もあります。
まとめ
最寄り駅を付ける作業は「住所→座標」と「座標→最も近い駅」の2段階で、駅データ自体は国から無料で公開されています。詰まりやすいのは前半の住所変換の側です。
そして出てきた距離は多くの場合直線距離で、徒歩時間とはイコールではない。この前提を共有したうえで使えば、リストの絞り込みや担当分けには十分機能する数字だと筆者は考えています。