商圏人口の調べ方 — 無料でここまでできる(複数の物件をまとめて調べる方法も)
「この物件の商圏人口、調べておいて」。出店検討・フランチャイズ加盟・営業資料づくりで、突然この宿題が降ってくることがあります。商圏分析の専門ツールは初期費用が数十万円規模のものが中心。1回調べたいだけなのに、それは無理です。
結論から言うと、商圏人口は無料で調べられます。この記事では無料の方法を正直に紹介し、そのうえで「候補物件が10件ある」ような場合の現実的なやり方を説明します。
そもそも商圏人口とは(半径の考え方)
商圏人口とは、ある地点から一定の距離内に住んでいる人の数です。半径をどう選ぶかについては、お客さんの来店手段に合わせて決めるのが一般的だと言われています。よく紹介される目安は次のとおりです(あくまで一般的な目安で、業態や立地によって変わるとされます)。
| 来店手段 | よく言われる目安 | 業態の例 |
|---|---|---|
| 徒歩 | 500m(徒歩約6分) | コンビニ・カフェ・クリーニング・美容室 |
| 自転車・近距離 | 1km | スーパー・学習塾・クリニック・整骨院 |
| 車 | 3km〜 | ロードサイド店・家電・ホームセンター |
どれか一つに絞りにくい場合は、500mと1kmの両方を出して比べる、という進め方も紹介されています。人口と一緒に世帯数も見ると、単身が多い町か家族の町かの見当がつきやすいと言われています。
無料で調べる方法① jSTAT MAP(1地点ならこれで十分)
政府統計の総合窓口(e-Stat)の地図機能jSTAT MAPを使うと、地図上の地点を指定して半径内の国勢調査データを無料で集計できます。公的データを公式の道具で見る、いちばん確実な方法です。1地点をじっくり調べるなら、これで十分です。
ただし正直に言うと、初見ではかなり戸惑います。「リッチレポート」「エリア作成」など独特の操作を覚える必要があり、集計レポートは基本的に1地点ずつ。住所リストの取り込み機能もありますが、「候補物件10件の比較表を今日中に」となると、1件ずつレポートを出して転記する作業になりがちです。
無料で調べる方法② 住所リストごと一括で付ける
物件や店舗の住所リストがExcelにあるなら、リストごとアップして「半径◯mの人口・世帯数」列を追加してもらう方が早いです。1件ずつ地図をクリックする作業がなくなり、そのまま比較表になります。
住所を貼り付けるだけで、半径500m〜3kmの人口・世帯数を一括で調べられます。
メール登録だけ・月100行まで無料。データは国勢調査(2020年)ベースです。
先に1地点だけ試すなら 商圏レポート(住所を入れるだけ・無料) もあります。
参考:数字の読み方(一般に言われていること)
商圏人口が2万人だったとして、それが良いのか悪いのか。ここからは、商圏を見るときによく言われている観点の紹介です。私たちは出店・商圏分析の実務家ではないため、判断そのものは専門家にご相談いただくのが良いと考えられます。参考として3点だけ挙げます。
① 競合とあわせて見る
人口2万人でも同業が10店あれば1店あたり2,000人、というように、周辺の同業種の件数とセットで見る考え方があると言われています(タスデータでは有料プランで周辺施設の件数も同時に付けられます)。
② 「今」だけでなく「これから」も
長期の出店では、将来の推計人口や人口増減率も参考にされることが多いようです。駅前でも将来的に人口が減る場所はあるとされます。
③ 昼の人口と夜の人口は別物
国勢調査の人口は「そこに住んでいる人」=夜間人口です。オフィス街の昼間の需要は住民数には表れないため、飲食などでは駅の乗降客数などを併用する例が紹介されています。
まとめ
- 商圏人口は無料で調べられる。1地点ならjSTAT MAP(e-Statの地図機能)が公式で確実
- 複数地点ならリストごと一括が早い(メール登録だけ・月100行まで無料)
- 半径は来店手段に合わせるのが一般的と言われる(徒歩500m/自転車1km/車3kmが目安)。人口だけでなく競合・将来・昼夜も参考にされる