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商圏調査を自分でやる方法 — 出店前に候補地を自分で確かめる5つの手順

2026年7月19日 / 最終更新 2026年7月19日
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監修:タスデータ(住所・地図データの専門チーム)
国勢調査の小地域集計・地域メッシュ統計を使った商圏集計を提供している立場から、公的データで確かめられる範囲と確かめられない範囲を整理しています。

フランチャイズの加盟説明会で商圏データを見せられた。あるいは、不動産会社から「この立地は人口が多い」と言われた。数字そのものを疑っているわけではないけれど、自分でも一度確かめてから判断したい——そういう場面で読まれることを想定した記事です。

結論から言えば、「数える」部分は自分でかなりのところまでできます。人口・世帯数・年齢構成・将来推計は、いずれも国が無料で公開しているデータだからです。一方で、データでは出ない部分も明確にあります。以下、手順の順番に沿って、どこまでが自力で届く範囲かを並べていきます。

なぜ「自分でも」確かめる余地があるのか

出店判断のときに手元に来る資料は、多くの場合、加盟や契約を勧める立場の側から提供されます。これは資料が不正確だという話ではなく、目的を持って作られた資料であるという当たり前の性質の話です。

商圏の元データである国勢調査は、誰でも同じものを参照できます。つまり人口や世帯数については、立場に関係なく同じ土俵で突き合わせができる、という見方ができます。同じ数字が出れば安心材料になりますし、違えば「どの範囲で数えたのか」を確認するきっかけになります。

手順1:商圏の範囲を決める

最初に決めるのは、どの範囲を「商圏」と呼ぶかです。ここが決まらないと人口を数えようがありません。半径で切るのが最も簡単で、業態によって使われやすい距離が変わる、と一般に整理されています。

半径捉え方目安になりやすい業態
500m徒歩数分の至近商圏コンビニ・カフェ・小型店
1km徒歩・自転車の生活圏スーパー・クリニック・学習塾
3km〜車で来店する広域商圏ロードサイド店・大型店

一つに絞りきれない場合、複数の半径を並べて見るという方法もあります。詳しくは商圏人口の半径は何km?で整理しています。

手順2:人を「数える」

範囲が決まったら、その中に何人・何世帯いるかを数えます。使う元データは総務省統計局の国勢調査で、無料公開されています。参照の入口は主に2つです。

どちらの経路でも、円に含まれる区画の人口を面積で按分して合計するという考え方は共通しています。円がきれいに町丁目やメッシュの境界と一致することはないので、はみ出た分を面積比で割り振る、という処理です。

手順3:人の「中身」を見る

ここが、自分でやる商圏調査で差が出やすい部分だと筆者は捉えています。総数が同じ1万人でも、中身が違えば商売の前提が変わるためです。国勢調査からは、総数のほかに次のような内訳が取れます。

見るもの読み取れること(一例)
年齢構成・高齢化率客層の重心。高齢化率が高い商圏で若者向け業態を出す場合の前提
世帯の構成(単独/夫婦のみ/夫婦と子供 など)単身が多いか、ファミリーが多いか。持ち帰り需要か、まとめ買い需要か
住宅の所有関係(持ち家か借家か)定住性の目安。入れ替わりの多い商圏かどうか
建て方(一戸建てか共同住宅か)同じ人口でも面的に広いか、垂直に密集しているか

これらは国勢調査の小地域集計(町丁目単位)に含まれており、いずれも無料で公開されています。ただし表が種類ごとに分かれているため、4項目そろえるには4回の取得と結合が必要になります。

手順4:「これから」を見る

今の人口が十分でも、店を続ける年数のあいだ同じとは限りません。国土交通省が公開している将来推計人口メッシュ(令和6年推計)を使うと、同じ場所の将来人口を同じ粒度で見られます。CC BY 4.0で公開されており、出典を明記すれば利用できます。

ここで見たいのは総数の増減だけではなく、年齢構成がどう変わるかという点だという見方があります。総人口が横ばいでも、中身が高齢側に寄っていれば商圏の性格は変わるためです。今の年齢構成と将来の年齢構成を並べて置くと、この変化が見えやすくなります。

将来推計は推計値であり、実測の国勢調査とは性質が異なります。数字を資料に載せる場合は、実測と推計を分けて書いておくと読み手が誤解しにくくなります。

手順5:データで出ない部分を、足で埋める

ここまでが公的統計で届く範囲です。逆に、公的統計に存在しないものもはっきりしています。

候補地の現地に立って、上の4つを自分の目で確かめる。統計で範囲を絞ってから足を使う、という順番であれば、回る候補地の数を減らせます。

自分でやる方法の限界

正直に書くと、上の手順1〜4を1地点ぶんe-Statで手作業でやると、慣れていても数十分はかかります。表を4種類ダウンロードし、町丁目コードで結合し、円の面積按分を自分で計算する工程があるためです。

これが効いてくるのは候補地が複数あるときです。3か所を比べたければ工程は3倍になり、しかも同じ半径・同じ年次でそろえないと比較になりません。ここが、自力でやる商圏調査で最も心が折れやすい箇所だと感じています。

住所を1つ入れると、上の手順2〜4をまとめた商圏レポートを無料で作ります。
人口・世帯数・年齢構成・世帯の構成・持ち家率・2050年の年齢構成・最寄り駅・周辺施設の件数まで、出典と粒度つきで1枚に。国勢調査など公的データベースです。

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まとめ

商圏調査のうち「数える」部分は、公的統計が無料で公開されているため自分でも確かめられます。範囲を決め、人を数え、中身を見て、これからを見る。ここまでを押さえてから現地に立つと、見るべきものが絞られる、という整理ができます。

提供された資料を疑うためというより、自分が納得して決めるための作業として捉えると気が楽かもしれません。元データは誰にでも開かれているので、同じ数字が出れば、それはそれで確かな材料になります。

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