無料で始める
タスデータコラム › 住所を緯度経度に一括変換する方法

住所を緯度経度に一括変換する方法 — Excelだけで完結しない理由と現実解

2026年7月19日 / 最終更新 2026年7月19日
📡
監修:タスデータ(住所・地図データの専門チーム)
公的な住所データをもとにしたジオコーディングエンジンを自社開発している立場から、変換方法の選択肢と精度の実測値を整理しています。記事内の精度は全国の学校1万件での自社実測値です。

Excelに住所が数百件。地図に落としたい、距離を出したい、エリアで分けたい。そのために緯度経度が要る——けれど1件ずつ地図サービスにコピペするのは現実的でない、という場面で読まれることを想定しています。

先に結論を書くと、Excel単体では完結しません。これは設定や関数を知らないからではなく、構造的な理由があります。まずそこから整理します。

なぜExcelの関数だけではできないのか

Excelには住所を緯度経度に変換する標準の関数がありません。理由は単純で、緯度経度は住所の文字列から計算で導けるものではないためです。

「東京都千代田区富士見2-5-13」という文字列をどう分解しても、そこから35.70という数値は出てきません。誰かが実際に測量して作った「住所と座標の対応表」を照合するしかない。この照合作業をジオコーディングと呼びます(仕組みの詳しい説明はこちら)。

つまり必要なのは関数ではなくデータです。そしてそのデータは、幸い日本では無料で公開されています。

選択肢を3つ並べて比べる

変換の方法は大きく3つに分かれます。件数と、社内に使える技術があるかで向き不向きが変わります。

方法費用向いている件数ネック
地図サービスで1件ずつ無料〜数十件件数に比例して時間がかかる
公的データを自分で結合無料制限なし表記ゆれ処理と結合の実装が要る
APIや変換サービス無料〜従量制限なし規約・単価の確認が要る

1. 少量なら、1件ずつでも十分

正直なところ、20〜30件なら地図サービスで1件ずつ調べた方が早い場面もあります。ツールの選定や仕様の確認に使う時間の方が長くなるためです。まずは件数を数えてから考える、という順番で困らないと思います。

2. 公的データを自分で使う(無料)

日本では、住所と座標の対応データが国から無料で公開されています。代表的なものは次の2つです。

これらをダウンロードして自分の住所リストと突き合わせれば、費用はかかりません。ただし実際にやると、次で触れる「表記ゆれ」が壁になります。

3. APIや変換サービスを使う

Google Maps系のAPIは高機能ですが、従量課金であることと、結果の保存に規約上の制限がある点が実務では効いてきます。「変換した緯度経度を自社のExcelに残しておく」という使い方が想定と合うかは、事前に確認したいところです(料金と規約の整理はこちら)。

実際にやると効いてくる「表記ゆれ」

公的データを自分で結合する場合、最大の手間はここです。同じ場所を指す住所が、リストの中で違う書き方になっている。よくあるのは次のようなパターンです。

単純な文字列一致で突き合わせると、この時点で相当な件数が落ちます。ここを吸収する正規化処理が、ジオコーディングの実質的な中身だと言えます(表記ゆれの統一方法はこちら)。

「変換できた」の中身は一様ではない

もう一つ、変換後に知っておきたいことがあります。すべての住所が同じ精度で変換されるわけではないという点です。

番地まで特定できるもの、町丁目の代表点までしか出ないもの、市区町村の役所の位置しか返らないもの。これらが混ざった状態で1つの列に入ってきます。町丁目レベルの座標を「その建物の位置」として距離計算に使うと、数百m単位のずれが入ります。

参考までに、当サービスのエンジンで全国の学校1万件(国土数値情報P29の住所と正解座標)を変換した実測値を載せます。

解決レベル割合
番地まで特定85.0%
町丁目まで特定13.9%
市区町村まで/不明1.1%
町丁目以上で解決(合計)98.9%

正解座標との誤差は中央値61m、1km以内に収まったものが90.7%でした(2026年7月実測)。裏を返せば、1割弱は1km以上ずれる可能性があるということでもあります。

実務では「変換できたか/できなかったか」の2択ではなく、どのレベルで変換できたかを列として残しておくと後の判断がしやすくなります。番地まで出たものだけを距離計算に使う、といった切り分けができるためです(位置精度の読み方)。

CSVをアップロードすると、住所の右隣に緯度経度と位置精度の列を付けて返します。
列名は変更せず、右側に追加するだけ。Excelでそのまま開けるBOM付きUTF-8です。メール登録だけ・月100行まで無料で試せます。

住所リストを一括変換する(無料)→

住所1つで周辺の人口や施設を見たい場合は 商圏レポート(登録不要) もあります。

まとめ

住所を緯度経度に変換するのは、計算ではなく照合の作業です。だからExcel単体では完結せず、データかサービスが要る。日本では元データが無料公開されているので、自分でやる道も残されています。

選ぶ基準は件数と、表記ゆれの処理を自分で書くかどうか。そして変換後は、全件が同じ精度ではないことを前提に扱う。この3点を押さえておけば、大きく外すことは少ないと筆者は捉えています。

関連記事・ツール
📕 このテーマの全体像:住所データ整備 完全ガイド
住所から緯度経度がわかる仕組み(専門用語なし)
住所の表記ゆれを一括で統一する方法
位置精度の「番地」と「町丁目」の違い
Google Maps APIジオコーディングの料金と規約の壁
住所リストに最寄り駅を一括で付ける方法
住所1つで商圏レポートを作る(無料)