出店候補地の競合店舗数の調べ方 — 無料の地図アプリ・経済センサスでどこまでわかるか
「この候補地の周辺に、コンビニやドラッグストアは何件あるのか」。出店を検討する場面で、早い段階に知りたくなる数字だと言われています。ここでは、この競合店舗数を無料で調べる方法を整理し、それぞれがどこまで頼れて、どこに限界があるかを論点として並べていきます。
論点1: 地図アプリで目視カウントする方法と、その限界
もっとも手早い方法は、地図アプリで「コンビニ」「ドラッグストア」などを検索し、画面に表示された件数を候補地の周辺で数えることです。1候補地を軽く確認したいだけなら、この方法で足りる場面もあります。
ただし正直に言うと、この方法には地図データそのものの限界がついて回ります。地図アプリの土台になることが多いOpenStreetMapは、「ある町は極めて詳細にマッピングされている一方、別の町は道路の情報しかなく、また別の町はまったくマッピングされていない」という地域差があると公式Wikiに明記されています。データベースの更新もボランティアの投稿・コミュニティの活動に依存する仕組みです。学術研究でも、OSMの建物データの網羅性は都市圏によって80%超から20%未満まで大きくばらつくことが定量化されています。つまり、同じ手順でカウントしても、候補地ごとに拾える精度が揃うとは限らない、という構造的な限界があります。
検索の表示件数についても触れておきます。開発者向けのGoogle Places API「Text Search(新規)」は、1回の検索につき全ページ合計で最大60件までしか結果を返さない仕様になっています。これはAPIの仕様であり、一般消費者向けのGoogleマップアプリで手動検索したときの話とは別です。消費者向けGoogleマップを手動で検索したときに画面に表示される候補件数の上限について、Google公式のヘルプ・サポートページでの明記は確認できていません。ただ、画面に表示される件数には上限があるという体験を持つ利用者は珍しくないようです。
論点2: 経済センサスという公的統計を使う方法と、その限界
もう1つの無料の方法が、経済センサス‐活動調査という公的統計を使うことです。総務省・経済産業省が実施する基幹統計で、直近の実施・公表は令和3年(2021年)調査(結果公表は2023年3月28日)です。次回は令和8年(2026年)6月1日時点で実施予定ですが、結果はまだ公表されていません。
令和3年経済センサス‐活動調査は「産業分類小分類別事業所数(小売業)」を市区町村単位で公表しており、コンビニエンスストアも小分類として集計対象に含まれます。統計表はe-Stat(政府統計の総合窓口)で無料公開・ダウンロードできるため、「〇〇市にコンビニは何店あるか」を確かめること自体は無料でできます。
論点3: 候補地が複数あるときに残る限界
ここまでの2つの方法は、1候補地を1回だけ確かめるなら成立します。問題は、候補地が複数あって横並びで比較したいときです。
地図アプリでの目視カウントは、候補地の数だけ検索とカウントを繰り返す作業になり、論点1で見た地図データの地域差という限界を、候補地ごとに抱えたまま積み重ねることになります。経済センサスは、候補地が属する市区町村が変わるたびに統計表を引き直す必要があり、しかも同じ市区町村内の異なる候補地は数字が分かれません。どちらの方法も、1件ずつなら無料で完結する一方、件数が増えると手間と限界がそのまま増えていく、という構図です。
住所ごとに半径を指定して、コンビニ・ドラッグストアを含む周辺施設の件数を列としてまとめて追加できます。
候補地が複数になっても、1件ずつ地図やe-Statを確認し直す作業を一括処理に置き換えられます。無料アカウントから登録でき、周辺施設の件数を含む一括処理はStandardプラン以上で使える機能です。
先に1地点だけ試すなら 商圏レポート(住所を入れるだけ・無料) でも周辺施設の件数を確認できます。
まとめ
- 出店候補地の競合店舗数を無料で調べる方法は、地図アプリでの目視カウントと経済センサス‐活動調査の2つがある
- 地図アプリの限界はデータの地域差。OSM系の地図は町によってマッピングの詳しさが大きく異なり、更新もボランティア依存とされている
- 経済センサスの限界は集計の単位。コンビニも小分類として集計対象に含まれるが、市区町村単位までしか出ず、候補地ごとの半径では出せない
- 1候補地を確かめるだけならどちらも無料の範囲で足りるが、候補地が複数になると手間と限界が積み重なる。そこを一括処理でまとめる、という位置づけでタスデータのCSVアップロードがある