国勢調査の人口データをe-Statでダウンロードする方法 — 町丁目単位まで無料で取る手順
「このエリアの人口を出しておいて」と頼まれてe-Statを開くと、似た名前の集計表がずらりと並んでいて、どれを開けばいいのか分からなくなる——これは探し方が下手なのではなく、国勢調査が目的別に何十種類もの集計を用意しているために起きることです。
ここでは、国勢調査の人口データをe-Statからダウンロードするときに論点になりやすい点を、つまずく順に整理していきます。「無料でどこまで取れるのか」「どこから手間が跳ね上がるのか」の境目が見えれば、作業の見積もりも立てやすくなるはずです。
最初の分かれ道:欲しい粒度はどれか
e-Statで迷う最大の原因は、同じ「人口」でも粒度ごとに別の集計として提供されていることです。先に行き先を決めてしまうと、その後の作業がまっすぐになります。
| 欲しいもの | 行き先 | 作業量 |
|---|---|---|
| 市区町村ごとの人口・世帯数 | 統計表(基本集計)をそのままダウンロード | 数分 |
| 町丁目ごとの人口・年齢・世帯 | 小地域集計(町丁・字等別) | 30分〜 |
| 500m・1kmの格子ごとの人口 | 地域メッシュ統計 | 30分〜 |
| 「この地点から半径1km」の人口 | 小地域またはメッシュ+境界データ+空間処理 | 半日〜 |
上2つは表計算ソフトだけで完結します。下2つは地図データの処理が入るため、性質の違う作業になります。この差を最初に見積もっておかないと、「30分で終わるはず」が一日仕事になりやすいところです。
2026年7月時点で取れる最新年次
ここは資料を作る前に確認しておきたい部分です。令和7年(2025年)国勢調査は、速報集計(男女別人口及び世帯総数)が2026年5月29日に公表されています。ただし内容は市区町村単位の人口・世帯総数までで、年齢構成や世帯の型、就業状態といった詳しい集計は順次公表される予定です。
そのため、町丁目単位のデータが必要な場合、2026年7月時点では令和2年(2020年)国勢調査が最新ということになります。e-Statの地図(統計GIS)で提供されている小地域の統計・境界データも、同じく令和2年が最新年次です。
手順1:統計データ(数値)をダウンロードする
e-Statのトップから「統計データを探す」→「ファイル」で国勢調査を選び、調査年 → 集計区分(小地域集計など)→ 都道府県 と辿っていく形になります。小地域集計は都道府県単位でファイルが分かれているため、全国分が必要なら47回のダウンロードになります。
ダウンロードしたファイルで、最初につまずきやすいのが次の3点です。
- 拡張子が .txt になっていることがある。中身はカンマ区切りのCSVなので、拡張子を変えるか、テキストファイルとして読み込めば開けます
- 見出しが複数行にまたがる。1行目に項目コード、2行目に項目名という構成のことが多く、そのまま読み込むとデータ部分が1行ずれます
- 地域コードの先頭の0が消える。Excelでそのまま開くと数値として解釈され、「01101」が「1101」になります。読み込み時に文字列を指定しておくと、後の結合作業でつまずかずに済みます
また、世帯数がごく少ない町丁目では、統計法にもとづく秘匿処理により数値が伏せられていることがあります。合計値と内訳の合計が一致しない場合、この秘匿が原因になっていることがあります。
手順2:境界データ(地図)をダウンロードする
町丁目ごとの数値を地図に載せる、あるいは「半径1km」で集計するには、町丁目の形(ポリゴン)が別途必要です。e-Statの「地図(統計GIS)」に、統計データとは別枠で境界データのダウンロードが用意されています。小地域の境界は、基本単位区・町丁字・人口集中地区の3種類が提供されています。
形式はShapefileやGeoJSONなどから選べます。数値データとはKEY_CODE(地域を識別するコード)で結合する形になり、ここでも先頭の0落ちが効いてくるため、両方を文字列として扱っておくと安全です。
年次をまたぐときの注意
複数年を比較する場合、町丁目の区画そのものが年次によって変わっていることがあります。市町村合併、住居表示の実施、宅地開発に伴う町丁目の分割・統合などが理由です。同じ地名でも範囲が違えば人口の増減はそのまま比較できないため、増減を語るときは市区町村単位やメッシュ単位に揃えるほうが素直な場合もあります。
手順3:「半径◯km」で集計する場合
出店検討やポスティングの部数決めでは、行政区画ではなく地点からの距離で人口を出したい場面が多くなります。ここが、表計算ソフトだけでは越えにくい線です。工程としては次のようになります。
- 調べたい住所を緯度経度に変換する
- その点を中心に半径1kmの円を描く
- 円と重なる町丁目(またはメッシュ)を抽出する
- 円からはみ出した区画は、重なった面積の割合で人口を按分して合計する
4の面積按分を省いて「重なった町丁目の人口を全部足す」とすると、大きな町丁目が1つ入るだけで数字が跳ね上がります。逆に「中心点が円に入るものだけ」とすると取りこぼします。ここは無料ツールでも差が出やすい部分で、同じ「商圏人口1万人」でも算出方法が違えば意味が変わることになります。
正直なところ、どこまで自力でやるか
1〜2地点を市区町村単位で見るだけなら、e-Statのダウンロードと表計算ソフトで十分に足ります。無理に道具を増やす必要はないと考えています。国が用意したjSTAT MAPを使えば、画面上で円を描いて集計するところまで無料でできます。
手作業が苦しくなるのは、次のような場合です。
- 候補地が10地点、20地点と増えたとき(1地点ずつ画面操作を繰り返すことになる)
- 人口だけでなく、年齢構成・世帯の型・持ち家率・将来推計まで同じ範囲で揃えたいとき
- 出した数字の出典と粒度を、資料に一つずつ書き添える必要があるとき
住所を1つ入れるだけで、半径ごとの人口・年齢構成・世帯の型・将来推計までまとめた商圏レポートを無料で作成できます。
国勢調査の小地域集計を面積按分で集計し、項目ごとに出典と粒度を明記して出力します。登録は不要です。
CSVで住所リストをまとめて処理したい場合は、タスデータ本体で人口・最寄り駅・周辺施設の件数などを一括で付与できます。まず1地点だけ確かめてから判断する、という順番でも問題ありません。
出典を書くときの形
国勢調査のデータは、出典を明記すれば商用利用も可能です。資料に載せる際は、次のように調査年・集計区分・出典元まで書いておくと、後から検証できる形になります。
「どの調査の、どの集計を、どう加工したか」までがセットになっていると、数字の意味が受け手に伝わりやすくなります。加工方法を書き添えておくのは、自分自身が半年後に見返したときのためでもあります。