ポスティングの世帯数をExcelでまとめる — 住所リストに一括で付ける手順
配布候補のエリアや店舗の住所がExcelに並んでいて、その各行に世帯数を入れたい——ポスティングの計画づくりでよくある形です。1エリアだけを調べる方法は ポスティングの世帯数の調べ方 で整理しました。ここではリストが手元にある状態から、Excelでどこまでできて、どこから外に出ることになるのかを整理していきます。
先に全体の見取り図を書いておきます。論点は3つです。①住所文字列のままでは関数で引けないこと、②元データの粒度と年次、③「半径◯km」で切りたい場合はExcelの外の話になること。順に見ていきます。
論点1:VLOOKUPで住所から世帯数は引けない
最初につまずくのがここです。VLOOKUPやXLOOKUPはキーが完全一致することを前提にした関数ですが、国勢調査の世帯数データが持っているキーは住所文字列ではなく町丁字コード(市区町村コード+町丁字を表す数字の並び)です。「横浜市西区みなとみらい2丁目」という文字列と、コードの列は、そのままでは突き合わせられません。
仮にコードを気にせず町丁目名で突き合わせようとしても、次のような食い違いが残ります。
| 食い違いの例 | 手元のリスト | 統計側の表記 |
|---|---|---|
| 丁目の表記 | 2丁目 / 2丁目 / 二丁目 | 統計表の記法に統一されている |
| 番地以下 | 3-1-5 まで入っている | 町丁目までしか無い |
| ビル名・階 | 〇〇ビル7F が続く | 該当なし |
| 旧町名・合併前の表記 | 古い顧客リストに残る | 調査時点の行政区域 |
つまり「住所→町丁字コード」の対応づけと、表記の正規化が先に必要になります。これはExcelの関数だけでも不可能ではありませんが、置換とIF文を積み上げる作業になり、件数が増えるほど例外処理が増えていきます。
論点2:元データはどれを使うか(粒度と年次)
町丁目単位の世帯数の一次データは、国勢調査の小地域集計です。政府統計の総合窓口(e-Stat)から都道府県別にダウンロードでき、世帯数のほか、世帯人員別の一般世帯数や家族類型といった表も含まれています。
利用条件についても押さえておくと、e-Statで提供されるデータは政府標準利用規約(第2.0版)に準拠しており、出典を明示すれば加工・編集・商用利用に制限はないとされています。提案資料や見積書に数字を載せる場合も、出典(府省名・統計調査名)を記載する形で使えます。
年次が気になる場合の別案として、自治体が公表している住民基本台帳の世帯数があります。こちらは毎年更新される一方、公表の粒度や形式が自治体ごとに異なるため、複数の市区町村をまたいで揃えるには手間がかかります。全国を同じ物差しで比べたいなら国勢調査、単一自治体で新しさを優先するなら住民基本台帳、という使い分けになります。
論点3:Excelで完結する範囲はどこまでか
正直なところ、件数が数十件で、町丁目名が正確に分かっているなら、Excelと手作業で十分です。e-Statから該当都道府県のCSVを落とし、町丁目名でフィルタして必要な行を拾い、リストに貼る。この規模なら、対応表を作るより直接拾ったほうが早く終わります。
手順としてはこうなります。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | e-Statで「国勢調査 小地域集計」から対象の都道府県のファイルを取得する |
| 2 | Excelで開き、市区町村と町丁目で対象行を絞り込む |
| 3 | 世帯数の列(一般世帯数など、使う定義を決めておく)を配布候補の表に転記する |
| 4 | 資料に載せる場合は出典(総務省「令和2年国勢調査」)を明記する |
Excelの外に出る境目は2つあります。ひとつは件数で、数百件を超えたあたりから表記ゆれの手当てが作業の本体になります。もうひとつは次の論点、切り方の問題です。
論点4:「半径1km」で切りたいときは足し算では出ない
ポスティングの配布エリアは「この拠点から半径1km」のように円で考えることが多い一方、統計の世帯数は町丁目という行政区域の単位で集計されています。円と行政区域は形が一致しないため、円にかかる町丁目の世帯数をそのまま足すと、円の外側まで数えることになります。
実務では、区域が円にかかっている割合(面積比など)で按分する処理が入ります。これを行うには緯度経度と区域の境界データが必要で、Excelの関数の範囲を出ます。1地点だけなら、e-Statの地図機能であるjSTAT MAPで円を描いて集計する方法があります(操作でつまずいた場合は jSTAT MAPが「難しい」と感じたら読む記事 も用意しています)。
ただしjSTAT MAPの集計は基本的に1エリアずつです。配布拠点が10件、20件と並んでいる表を埋めたい場合は、1件ずつ円を描いてレポートを出し、Excelに転記する作業が件数分だけ発生します。
住所の列があるExcelをそのまま渡して、半径500m〜3kmの世帯数・人口の列を受け取れます。
町丁字コードへの対応づけと表記ゆれの処理はサービス側で行うため、リストの整形は不要です。メール登録だけ・月100行まで無料。データは国勢調査(2020年)ベースで、出典を明記して商用利用できます。
まず1地点だけ試すなら 商圏レポート(住所を入れるだけ・無料) もあります。
補足:世帯数のどの定義を使うか
国勢調査の世帯には「一般世帯」と「施設等の世帯」の区分があり、通常のポスティングの計画で参照されるのは一般世帯数のほうです。寮や病院などの施設等の世帯は、配布可能な郵便受けの数とは対応しにくいためです。
また、同じ世帯数でも構成によってエリアの性格は変わります。令和2年の小地域集計には世帯人員別の一般世帯数や家族類型の表も含まれているため、単身世帯が多いのか、子どものいる世帯が多いのかを世帯数とあわせて見ることができます。どの指標を配布判断に使うかは配布物や商材によって変わるため、ここでは「取れる列がある」という点までにとどめます。
まとめ
- 国勢調査の世帯数のキーは町丁字コードで、住所文字列とはそのまま突き合わせられない
- 町丁・字等別の最新は、2026年9月時点で令和2年(2020年)。令和7年の速報は市区町村単位までの公表にとどまる
- e-Statのデータは出典明示で商用利用できるとされている(政府標準利用規約2.0)
- 数十件・町丁目単位ならExcelと手作業で足りる。境目は件数(数百件〜)と、円で切りたいかどうか
- 「半径◯km」は行政区域と形が合わないため、按分の処理が必要になる