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外国人が多いエリアを数字で調べる方法 — 国勢調査と在留外国人統計の使い分け

2026年9月20日 / タスデータ編集部

看板やチラシを多言語にするかどうか、外国人スタッフの採用を見込める店舗はどこか、この物件は外国籍の入居者に向けて募集できるか——実務でこうした判断をするとき、「このエリアは外国人が多い」という感覚を数字に置き換えて資料に載せる場面があります。

ここでは、その根拠として使われる2つの公的統計——国勢調査の国籍別人口と、出入国在留管理庁の在留外国人統計——の性質差を整理し、市区町村より細かい単位で数字を出す方法とその限界を論点として並べていきます。

論点1: 2つの統計は「誰を数えているか」が違う

どちらも「日本にいる外国人の数」を表す統計ですが、母集団の定義が別です。まず国勢調査から見ます。

国勢調査 — 居住実態(常住者)で数える

総務省統計局の「国勢調査の基本に関するQ&A」は、問3-1で「国勢調査では、住民票などの届出場所に関係なく、10月1日現在、ふだん住んでいる場所で調査票にご記入いただきます。『ふだん住んでいる場所』とは、3か月以上住んでいる場所か、3か月以上にわたって住むことになっている場所をいいます」と説明しています。さらに問3-14では「国勢調査では、国籍に関係なく、すでに3か月以上住んでいるか、3か月以上住むことになっている場所で調査を行います」と明記されています。

つまり国勢調査の外国人人口は、住民票の届出場所ではなく実際の居住実態で数えた数字です。調査対象から外れるのは、外国政府の外交使節団・領事機関の構成員等と、外国の軍隊の軍人・軍属およびその家族とされており、在留資格の有無はこの除外基準に含まれていません。在留資格を持たない人が形式上は対象から除外されているわけではない、という整理になります。

在留外国人統計 — 在留資格の記録で数える

もう一方の在留外国人統計は、出入国在留管理庁が「中長期在留者及び特別永住者」を対象として集計する統計です。同庁の用語の解説では、中長期在留者を次の①〜⑥のいずれにもあてはまらない者と定義しています。

そのうえで「在留外国人=中長期在留者及び特別永住者」と定義されています。より広い「総在留外国人」という集計もありますが、こちらも「在留資格を持って我が国に在留する外国人」が前提であるため、在留資格を有しない人はどちらの集計にも含まれません。超過滞在等の人数は、同庁が「本邦における不法残留者数について」として別建てで公表しています。

観点国勢調査(国籍別人口)在留外国人統計
作成元総務省統計局出入国在留管理庁
数える基準10月1日現在の常住地(3か月以上の居住実態)在留カード等で把握される在留資格
3か月以下の滞在者対象外(3か月以上が条件)対象外(在留期間3月以下・短期滞在は除外)
在留資格を持たない人除外基準に含まれない含まれない(別統計)
外交・公用の在留資格外交官等は除外除外
在留資格別の内訳なしあり
更新の頻度5年ごと(国勢調査の年)年2回(6月末・12月末時点)

「3か月」という線引きは両者で共通しています。それでも数え方の入口が居住実態と在留資格で分かれているため、同じエリアの外国人数でも一致しません。

在留外国人統計の最新値(2026年9月時点)

2026年9月時点で最新の公表は「令和7年末現在における在留外国人数について」で、対象時点は2025年12月31日です。

項目値(2025年12月末現在)
在留外国人 総数412万5,395人(前年末比 +35万6,418人・+9.5%)
うち中長期在留者385万8,499人
うち特別永住者26万6,896人
在留資格別(上位)永住者 94万7,125人/技術・人文知識・国際業務 47万5,790人/留学 46万4,784人

総数は初めて400万人を超え、過去最高となりました。なお在留外国人統計は年2回公表される統計なので、この記事を読む時点ではより新しい時点の数字が出ている可能性があります。

人口に対する割合について。出入国在留管理庁の記者発表本文には、総人口に対する比率(%)の記載はありません。総務省統計局「人口推計 2025年(令和7年)12月報」の総人口1億2,316万人(2025年12月1日現在・概算値)で単純に割ると約3.35%になりますが、これは法務省の在留外国人数と統計局の人口推計という別々の統計から算出した値です。資料に載せる場面では、政府が公式に発表した比率ではなく2つの統計からの計算値である旨と、それぞれの時点を書き添える運用が見られます。

論点2: 2つの数字はずれる。ずれの向きも指摘されている

2つの統計を並べると、国勢調査側のほうが小さい数字になる傾向が学術的に指摘されています。京都大学の石川義孝氏による「外国人関係の2統計の比較」(人口学研究 第37号)は、2000年時点で国勢調査報告の外国人数1,310,545人が、もう一方の統計の1,686,444人より37.6万人少ないことを示しています。

同論文はその最大の要因として、「不法就労・資格外活動・超過滞在などによって外国人としての自らの地位に不安を覚える登録外国人が、入国管理局による摘発を恐れて、国勢調査に非協力的になる」ことを挙げ、国籍不詳者228,561人の存在を傍証として提示しています。

ただしこの比較は2000年のデータに基づくもので、当時の相手方統計は在留カード制度以前の外国人登録統計です。数量差をそのまま現在にあてはめられる分析ではありません。2つの統計の数字が一致しないこと自体は構造的なもので、どちらかが誤りというわけではない、という背景として読める材料だと筆者は捉えています。

論点3: 市区町村より細かい単位で出せるか

実務で使いたい粒度は、多くの場合「市区町村より細かい単位」です。ここが2つの統計それぞれの限界が出るところです。

国勢調査の国籍別人口は市区町村まで

令和2年国勢調査で国籍別の人口を収録しているのは、表番号44-1「男女,国籍別人口-全国,都道府県,市区町村」です。表題のとおり、公開単位は全国・都道府県・市区町村の3区分で、町丁・字等の小地域や地域メッシュでの国籍別公開はありません。

e-Statでの辿り方は、政府統計コード00200521(国勢調査)→ 令和2年国勢調査 → 人口等基本集計 → 外国人 → 表44-1、の順です(統計表ID 0003445244)。

一方、外国人の総数だけであれば町丁・字等まで下りられます。小地域集計の項目に「男女別人口,外国人人口及び世帯数-町丁・字等」があり、町丁・字等ごとの外国人人口が収録されています。ただしこの表に国籍別の内訳は含まれていません。

地域メッシュ統計(500mメッシュ等)についても、国籍別の内訳項目が含まれるかどうかは、今回の調査では一次情報を確認できていません。メッシュ単位で国籍別の数字が必要な場面では、総務省統計局のメッシュ統計ページで項目一覧を直接あたるのが確実な手順になります。

在留外国人統計は「記者発表」と「詳細表」で粒度が違う

在留外国人統計を検索して最初に見つかるのは、たいてい記者発表(プレスリリース)です。ここに載っているのは都道府県別までで、市区町村別の集計は含まれていません。

市区町村単位の数字は、e-Stat(政府統計の総合窓口)で公開されている詳細版の在留外国人統計にあります。「市区町村別 国籍・地域別 在留外国人」という別表が存在し、市区町村単位の在留外国人数を国籍・地域別に確認できます。速報として出る記者発表と、あとから出る詳細表は別物、という構造です。どの時点の市区町村別表まで公表済みかは、e-Stat側で該当表の一覧を見て確かめる形になります。

欲しい粒度使える表国籍別の内訳
全国・都道府県国勢調査 表44-1/在留外国人統計(記者発表・詳細表)あり
市区町村国勢調査 表44-1/在留外国人統計の詳細表「市区町村別 国籍・地域別」あり
町丁・字等(小地域)国勢調査 小地域集計「男女別人口,外国人人口及び世帯数-町丁・字等」なし(外国人の総数のみ)
メッシュ国勢調査 地域メッシュ統計未確認(項目一覧の直接確認が必要)

整理すると、「国籍別に見たい」と「町丁目レベルで見たい」は、公的統計の公開単位の上では同時に満たせません。国籍別が要るなら市区町村までで止まり、町丁目まで下りるなら外国人の総数だけになります。多言語対応で「どの言語を用意するか」まで決めたい場面と、「この店舗の周辺に外国人がどれだけ住んでいるか」を見たい場面では、そもそも別の表を見ることになります。

論点4: 比率を出すときの時点と分母

「外国人が多いエリア」を比率(%)で示す場面では、分子と分母の時点が揃っているかが結果を左右します。自治体が公表している住民基本台帳ベースの数字は更新が早く、直近の状況を示す材料としてよく参照されます。

エリア時点総人口外国人比率
群馬県 大泉町2026年8月31日現在41,304人9,251人約22.4%
東京都 新宿区2026年9月1日現在355,042人51,175人約14.4%
大阪市(市全体)2025年12月末現在214,337人(161の国・地域)約7.7%
東京都(都全体)2025年1月1日現在14,002,534人721,223人約5.15%

いずれも住民基本台帳に基づく自治体・都の公表値です。大阪市の比率は政令指定都市のなかで人数・比率とも最多とされています。区単位では、大阪市生野区の外国籍住民が31,355人(2025年12月末、大阪市公式)で、大阪市24区のうち人数・比率とも最多です。区内人口に対しては概ね2割強という水準になります。

ここで注意が要るのは、これらの数字と国勢調査・在留外国人統計を同じ表に並べると、3つの系列が混ざることです。住民基本台帳は届出、国勢調査は居住実態、在留外国人統計は在留資格の記録です。エリアを横並びに比べる資料では、同じ系列・同じ時点で揃えたうえで、出典と時点を数字のすぐ横に書き添える運用がよく見られます。

比率の高いエリアは、時期によって数字が動く幅も大きくなります。大泉町は2024年11月末時点では総人口41,495人・外国人8,306人(約20.0%)で、上毛新聞が「初めて2割超」と報じていました。新宿区も2025年1月1日時点では総人口352,717人・外国人48,097人(約13.6%)とする二次情報があります。「◯◯町は外国人比率が2割」と書くときは、どの時点の数字かまで含めて1組で扱うほうが、あとから照合されたときに齟齬が出にくくなります。

論点5: 自分の拠点リスト・物件リストの1件ずつに付けるなら

先に率直に書くと、調べたい地点が1つか2つなら、手作業で十分です。市区町村単位でよければ、e-Statで表44-1を開くか、自治体サイトの人口ページを見れば数分で終わります。町丁目単位の外国人人口も、該当する市区町村の小地域集計をダウンロードして目的の町丁を探すだけです。ツールを挟むほどの作業ではありません。

手数が問題になるのは、拠点や物件が数十件・数百件あって、それぞれの周辺半径◯mという単位で数字を揃えたい場合です。この形にするには、住所を緯度経度に変換し、地点ごとに円を描き、円にかかる区画を面積で按分して合計する工程が入ります。商圏人口の計算方法(面積按分)で扱っているのと同じ処理です。

タスデータでの扱い(算出ロジックと列名の開示)

参考までに、当サービスでこの数字をどう扱っているかを書いておきます。

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まとめ

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