エリアの年齢構成を調べる方法 — 町丁目の年齢別人口と、2050年の推計まで
扱っている商品のターゲットが20代なのか、60代以上なのか。それによって「このエリアでいいのか」の答えは変わります。ここでは、エリアの年齢構成を数字で出す方法を整理し、どの粒度まで無料で下りられるのか、将来の姿はどこまで分かるのかを論点として並べていきます。
論点1: 比較の基準線として、まず全国の値を置く
エリアの数字は、単独で見ても高いのか低いのか判断がつきません。比較の起点として全国値を置いておくと読みやすくなります。
高齢化率(65歳以上人口の割合)については、総務省統計局が人口推計として公表しており、2025年9月15日現在の推計値は29.4%です。前年同時期の公表では29.3%とされており、緩やかに上がり続けている、という水準感になります。
この数字は推計であり、国勢調査の確定値とは系列が異なります。エリア別の数字を国勢調査から取る場合、比較相手も国勢調査の全国値に揃えるほうが、あとで突き合わせたときに齟齬が出にくくなります。
論点2: 現在の年齢構成は、町丁目まで無料で下りられる
正直に書くと、1〜2エリアを調べたいだけなら、この作業は無料で終わります。2020年(令和2年)国勢調査の小地域集計に、第3表「男女、年齢(5歳階級)別人口、平均年齢及び総年齢-町丁・字等」があり、e-Statからダウンロードできます。町丁・字等の単位で、5歳階級別の人口と平均年齢が入っています。
押さえておく点が2つあります。1つは、年齢が5歳階級であって各歳別ではないこと。「25歳の人口」のような粒度は小地域集計では出ません。もう1つは、平均年齢が同じ表に入っていることで、階級別の数字を集計する前に、エリア同士をざっと比べる指標としては平均年齢が使えます。
粒度ごとの対応は次のようになります。
| 欲しい粒度 | 使えるデータ | 年齢の刻み |
|---|---|---|
| 全国・都道府県・市区町村 | 国勢調査 人口等基本集計 | 5歳階級 |
| 町丁・字等(小地域) | 国勢調査 小地域集計 第3表 | 5歳階級 |
| メッシュ | 国勢調査 地域メッシュ統計 | 5歳階級別の人口が提供されているとされる。どのメッシュサイズまで年齢別が揃うかは、統計局のメッシュ統計のページで項目一覧を確認する形になる |
論点3: 将来の年齢構成は、粒度と主体が分かれる
「10年後・25年後もこのエリアに客がいるのか」を見たい場合、参照先は国勢調査ではなく将来推計人口になります。ここで系列が2つに分かれます。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」
最新版は令和5年(2023年)推計で、都道府県・市区町村の単位で、2020年から2050年まで5年ごと、男女・5歳階級別の推計を公表しています。市区町村単位で年齢構成の将来像を追いたい場合は、この系列が該当します。
国土数値情報「1kmメッシュ別将来推計人口データ(R6国政局推計)」
国土交通省が提供しているもので、1kmメッシュという細かい単位の将来推計人口です。2020年国勢調査を基準とした推計値で、男女・5歳階級別の人口を含みます。ライセンスはCC BY 4.0のオープンデータです。市区町村より細かい単位で将来を見たい場合の選択肢になります。
2つの系列で数字が完全に一致するわけではありません。推計の主体も基準も異なるため、資料に載せるときはどちらの推計かを明記する形になります。「将来人口」という言葉だけで並べると、あとから出どころを追えなくなります。
論点4: 2025年国勢調査の年齢別人口は、まだ出ていない
時点の話も整理しておきます。2025年(令和7年)国勢調査で年齢別人口を含む「人口等基本集計」の公表予定日は2026年9月29日です。この記事を書いている2026年9月20日時点では未公表で、確定値として参照できるのは2020年調査のものになります。
町丁・字等の小地域集計は、基本集計の公表後に集計・秘匿処理を経て公表される順序です。前回(令和2年調査)では人口等基本集計が2021年11月30日、小地域集計が2022年8月31日と9か月ほど開いていました。町丁目単位の年齢別人口が2025年調査ベースに入れ替わるのは、市区町村単位の数字が出るよりさらに先、という前提で段取りを組む形になります。
論点5: 地点が増えたときに残るもの
ここまでの手順は、エリアが1〜2か所なら無料で成立します。手数が問題になるのは、候補地や既存店が数十件あって、それぞれの周辺半径◯m圏の年齢構成を同じ条件で揃えたいときです。地点ごとに、円にかかる町丁目を選び、5歳階級の列を必要な区分に足し上げ、秘匿された行を確認する、という作業が件数分だけ繰り返されます。将来推計も見るなら、別の系列のデータでもう一度同じことをすることになります。
タスデータの年齢別人口の付与は、この部分をまとめて処理する形をとっています。住所から緯度経度を出し、指定した半径の円で面積按分して、10歳刻み8帯(0〜9歳/10〜19歳/…/60〜69歳/70歳以上)を、2020年の実測と2050年の推計で合計16列追加します。2020年側は国勢調査の小地域集計、2050年側は国土数値情報の1kmメッシュ別将来推計人口(R6国政局推計)が出どころです。
住所の列があるCSVをアップロードすると、指定した半径の年齢別人口(2020年実測・2050年推計の各8帯)が列として追加されて返ってきます。
候補地が増えても、町丁目を選んで階級を足し上げる作業を繰り返さずに済みます。
先に1地点だけ試すなら 商圏レポート(住所を入れるだけ・無料) でも年齢構成を確認できます。
まとめ
- 全国の高齢化率は29.4%(2025年9月15日現在の推計値)。エリアの数字はこれと比べて読む
- 町丁目の年齢別人口は、国勢調査 小地域集計の第3表で無料で出せる。刻みは5歳階級で各歳別はない
- 将来は系列が2つ。社人研の令和5年推計(市区町村・2020〜2050年・5年ごと)と、国土数値情報の1kmメッシュ別将来推計人口(CC BY 4.0)
- 2025年国勢調査の年齢別人口は2026年9月29日公表予定。町丁目単位はさらに後になる
- 1〜2地点なら無料で足りる。地点が増え、現在と将来の両方を揃える段階で、面積按分を含む一括処理という選択肢が出てくる