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単身世帯の割合をエリア別に調べる方法 — 国勢調査の小地域データで町丁目まで出す手順

2026年9月20日 / 最終更新 2026年9月20日
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監修:タスデータ(住所・地図データの専門チーム)
国勢調査の小地域・メッシュ統計を商圏単位に集計して提供している立場から、公的データの入手先と粒度の境目、集計の途中で崩れる箇所を整理しています。

「この物件は一人暮らし向けか」「この店舗の周りは単身が多いのか」——賃貸の募集条件、宅配の配達密度、飲食の客単価設計、単身向け家電の販促。エリアの単身世帯の多さを数字で示したい場面は、業種をまたいで出てきます。ところが検索して出てくるのは市区町村単位の「単身世帯率」までで、実際に扱いたい町丁目の数字にはたどり着かないことが多いようです。

ここでは、国勢調査の小地域(町丁・字等)データで町丁目単位の単独世帯数を無料で出す手順を先に示し、そのあとでその数字が実務の場面で崩れる箇所を論点として整理します。扱うのは、区分名と定義のずれ、秘匿措置による虫食い、複数地点・半径指定にしたときの手数、そして2025年国勢調査のデータがまだ出ていないという公表タイミングの話です。

前提:全国の単独世帯は一般世帯の38.0%

まず全国の水準です。2020年(令和2年)国勢調査の人口等基本集計結果によると、一般世帯総数は55,704,949世帯(約5570万5千世帯)。このうち世帯人員が1人の世帯は21,151,042世帯(約2115万1千世帯)で、一般世帯の38.0%を占めます。世帯人員別に見て最も多い区分がこの1人世帯です。

エリア別の数字を見るときは、この38.0%が比較の基準線になります。「単身が多いエリア」と言えるかどうかは、全国平均に対して高いか低いかで判断されることが多いためです。

同じ公表資料の中に、単独世帯の割合として38.1%と書かれている箇所もあります。こちらは世帯の家族類型別の集計で、世帯人員別の集計(38.0%)とは基準となる一般世帯の内訳(家族類型「不詳」の扱い等)が異なるため、小数点第1位でわずかに差が出ます。単独世帯数そのものは同じ21,151,042世帯です。資料に引くときは、どちらの集計区分から取った割合かを併記しておくと後で突き合わせができます。

手順:e-Statで町丁目単位の単独世帯数を出す

町丁目単位のデータは、国勢調査の小地域集計にあります。総務省統計局の「令和2年国勢調査 調査結果の利用案内(ユーザーズガイド)」は、小地域集計において町丁・字等の別に年齢5歳階級別人口や家族類型別世帯数等を集計していると明記しています。つまり単身世帯を町丁目まで下ろす道は公式に用意されています。

粒度ごとの対応関係は次のとおりです。

粒度統計表備考
全国・都道府県・市区町村表9-1-1「世帯の家族類型,世帯員の年齢による世帯の種類別一般世帯数-全国,都道府県,市区町村」人口集中地区別の表9-4-1もある
町丁・字等(小地域)表6-1「世帯の家族類型,世帯員の年齢による世帯の種類別一般世帯数-町丁・字等」関連して表6-2(家族類型別一般世帯人員)、表6-3(家族類型別1世帯当たり人員)

たどり方は次の並びになります。

  1. e-Statの「国勢調査 小地域集計」から、令和2年(2020年)調査を開く
  2. 都道府県を選ぶ
  3. 「人口等基本集計に関する集計」の中から、表番号6-1「世帯の家族類型,世帯員の年齢による世帯の種類別一般世帯数-町丁・字等」を探す
  4. 市区町村を選んでCSV(またはExcel)をダウンロードする
  5. ダウンロードしたファイルの列見出しを確認し、単独世帯にあたる列と一般世帯総数の列を突き合わせて割合を出す

統計表のURLパラメータ(tclassなど)や表番号は調査年・改訂で変わるため、直リンクではなくこの「小地域集計 → 都道府県 → 人口等基本集計に関する集計 → 表6-1」という辿り方で覚えておくほうが、年度が変わっても通用します。

ファイルは市区町村ごとに分かれて提供される点も押さえておく箇所です。1市区町村なら1ファイルで済みますが、隣接3市にまたがる商圏を扱う場合は3ファイルを落として結合する作業が入ります。

表6-1のタイトル・表番号は、e-Statのファイル一覧ページで直接確認できます。ただしファイル内部の列見出し(家族類型の内訳が何列に分かれているか)は、実際にCSVを開かないと確定できません。平成27年調査では「世帯の家族類型(6区分)」という表現が使われていましたが、2020年の表6-1で内訳が完全に同一かどうかは、ファイルを開いて確認する形になります。「単独世帯」が何列目にあるかを決め打ちせず、ヘッダを見てから列を指定するほうが安全です。

町丁・字等とは何を指すか

「町丁・字等」は、9桁の基本単位区コードのうち先頭6桁が同じ基本単位区をまとめた地域単位で、市区町村内の「△△町」「〇〇2丁目」「字□□」などにおおむね対応します。町丁・字等別の集計は平成7年(1995年)調査から実施されており、今回はじめて出たものではありません。人口・世帯数については、町丁・字等よりさらに細かい「基本単位区」単位でも集計されます。小地域集計の対象地域単位は、町丁・字等・基本単位区・地域メッシュの3種類です。

論点1:「単身世帯」という区分名は統計表には無い

ここから、出てきた数字が実務で崩れる箇所を順に見ていきます。最初は用語の話です。

国勢調査の統計表に「単身世帯」という区分はありません。対応する公式の区分名は「単独世帯」です。総務省統計局の用語解説では、単独世帯とは世帯人員が一人の世帯で、会社等の独身寮の単身者や間借り・下宿の単身者を含むとされています。一般世帯(施設等の世帯以外の世帯)の一区分です。社内資料で「単身世帯」という通称を使う場合、統計表上は単独世帯の数値を参照している旨を書き添えておくと、後から数字を追う人が迷いません。

世帯の家族類型そのものの体系は次のようになっています。一般世帯を世帯主との続き柄によって区分したものです。

大区分内訳
A-親族のみの世帯核家族世帯=(1)夫婦のみの世帯 (2)夫婦と子供から成る世帯 (3)男親と子供から成る世帯 (4)女親と子供から成る世帯/および核家族以外の世帯等
B-非親族を含む世帯
C-単独世帯世帯人員が一人の世帯

表側の区分名として並ぶのは、単独世帯/夫婦のみの世帯/夫婦と子供から成る世帯/男親と子供から成る世帯/女親と子供から成る世帯/その他の世帯(非親族を含む世帯等)という名称です。

よくある取り違えとして、「男親または女親と子供から成る世帯」という1つの区分は存在しません。国勢調査の公式分類では「男親と子供から成る世帯」と「女親と子供から成る世帯」は統合されず、別区分として集計されています。ひとり親世帯としてまとめた数字を資料に載せる場合は、2区分を自分で合算したものだと明記する形になります。総務省の正式名称と、実務でまとめた呼び名を混ぜないことが、後の検算を楽にします。

論点2:秘匿措置で、町丁目データは虫食いになる

町丁目単位まで下りると必ず当たるのが秘匿処理です。統計局は、町丁・字等別の結果数値が著しく小さい地域について秘匿処理を行っていると明記しています。具体的には2段階です。

  1. 当該地域(秘匿地域)の結果数値を「x」に置き換える
  2. その地域の数値を近隣の地区(合算先地域)に合算して表章する

データファイル側では、この処理が列として表現されます。「秘匿処理」列(値は秘匿地域/合算地域あり)、「秘匿先情報」列、「合算地域」列が付き、どの地域とどの地域が合算されたかが追えるようになっています。合算先の地域の数値は、その地域自身と秘匿された地域との合計値です。ユーザーズガイドには北海道旭川市近文町を例にした具体表も載っています。

実務上の影響は2つあります。1つは、単独世帯数が「x」や0になっている町丁目が混ざること。もう1つは、合算先の町丁目の数値が実際より大きく見えることです。町丁目を単純に降順ソートして上位を拾うやり方をすると、合算先の地域が上に来る可能性があります。

なお、何人未満・何世帯未満が秘匿対象になるかという具体的な数値基準は公表されていません。統計局の資料はいずれも「結果数値が著しく小さい地域については秘匿処理を施している」という定性的な説明にとどまっています。閾値を断定した記述を社内資料に書くと根拠を示せなくなるため、「著しく小さい地域は秘匿・近隣地域に合算されるため、値がxや0になる町丁目がある」という書き方に留めておくのが無理のない範囲です。

町丁・字等の名称や境域は各市区町村が設定しています。統計局の利用上の注意にも、名称に関する疑問がある場合の問い合わせ先は各市区町村である旨が書かれています。「自社の住所録にある町名が統計表の町丁・字等名と一致しない」という食い違いは、この設定主体の違いから生じます。

論点3:複数地点・半径指定にすると、手数が一段増える

ここまでの手順で出せるのは「町丁目ごとの単独世帯数と割合」です。実務で求められるのはしばしば別の形——「この物件から半径500m圏の単身世帯率」「候補地40件それぞれの単身世帯率」——で、この2つの間に工程が入ります。

まず、統計データと境界データは別ファイルで提供されます。e-Statの統計地理情報システム(統計GIS)では、境界データのダウンロード機能について「境界データと結合できるコード(KEY_CODE)を追加しています」と説明されています。つまり属性テーブル(CSV)と図形データ(Shapefile等)を落とし、KEY_CODEをキーにGISソフトで結合(テーブルジョイン)するのが前提の構成です。

そのうえで、半径指定の集計はおおむね次の工程になります。

  1. 対象市区町村の表6-1(統計データ)と、同じ範囲の小地域境界データを落とす
  2. KEY_CODEで両者を結合する
  3. 拠点・候補地の住所を緯度経度に変換する
  4. 拠点を中心に半径の円を描き、町丁・字等のポリゴンと重ね合わせる
  5. 円からはみ出る町丁目を面積で按分し、単独世帯数と一般世帯数をそれぞれ合計してから割合を出す

5で「割合を先に平均しない」のが要点です。町丁目ごとの単身世帯率を単純平均すると、世帯数10の町丁目と世帯数2,000の町丁目が同じ重みになります。分子(単独世帯数)と分母(一般世帯数)をそれぞれ足してから割ると、この歪みが出ません。

1〜2地点であれば、この工程はQGISなどの無料GISソフトで手作業でも完結します。ファイル2本を落として結合し、円を1つ描いて按分するだけで、費用は0円です。少量ならこれで十分で、わざわざ自動化する理由はありません。詰まりやすいのは、候補地が数十件を超えたときと、市境をまたいで統計ファイルが複数になるときです。ここは同じ作業の反復になるため、件数に比例して時間が増えていきます。jSTAT MAPでつまずく箇所も同じ構造の話です。

論点4:2025年国勢調査の数字は、まだ出ていない

もう1つ、時点の話です。2026年9月20日現在、参照できる単独世帯データは2020年(令和2年)国勢調査のものです。

2025年(令和7年)国勢調査で世帯の家族類型を含む「人口等基本集計」の公表予定は2026年9月29日14時(全国・都道府県・市区町村単位)です。この記事を書いている時点ではまだ公表されていません。すでに公表済みなのは2026年5月29日の人口速報集計で、こちらは男女別人口と世帯総数のみで、世帯類型や小地域データは含まれません。速報集計と基本集計は別物です。

では町丁目単位(小地域集計)はいつか。総務省の集計体系では、小地域集計は該当する基本集計等の全国/都道府県/市区町村別結果が公表された後、それを町丁・字等単位に再集計し秘匿処理を施した上で速やかに公表されるとされており、小地域集計単独の確定した公表予定日は示されていません

目安として前回の実績を置くと、次のようになります。

集計令和2年(2020年)調査の実績
人口等基本集計2021年11月30日 公表
小地域集計(町丁・字等ほか)e-Statのファイル情報上の公開日は2022年8月31日(約9か月後)

2025年調査で同じタイムラグになる保証はないため、これは前回実績としての目安にとどまります。市区町村単位の数字が出た時点で町丁目単位も揃っていると想定して段取りを組むと、ずれが出る可能性があります。

タスデータでの扱い方(列名と算出ロジックの開示)

参考までに、当サービスで単身世帯のデータをどう扱っているかを書いておきます。上の工程3〜5(住所の緯度経度化・円との重ね合わせ・面積按分)を、住所リストに対してまとめて処理する形です。

料金はFree(月100行)/Standard ¥4,980(50,000行)/Pro ¥9,800(200,000行)の3プランで、世帯構成のオプションはFreeプランでも使えます。まず数行で列の中身を確かめてから判断できる構成です(料金プランを見る)。

住所を1つ入れると、その商圏の世帯の構成(一人暮らしなど・夫婦のみ・夫婦と子ども)が無料で確認できます。
登録もログインも不要。半径500m〜3kmの人口・世帯数・年齢構成・持ち家率・最寄り駅も同じ1枚に載ります。

住所を入れて商圏レポートを作る →

整理:どこまでが無料の公的データで済むか

ここまでを1枚に畳むと、次の切り分けになります。

やりたいこと無料の公的データで済む範囲
市区町村の単身世帯率を出す表9-1-1でそのまま出る
町丁目ごとの単独世帯数・割合を一覧する表6-1をダウンロードして計算。市区町村ごとにファイルが分かれる
1〜2地点の半径◯m圏の単身世帯率境界データをKEY_CODEで結合し、GISソフトで按分。手作業で完結する
数十〜数百地点の半径◯m圏を一括で同じ工程の反復。件数に比例して時間が増える
2025年調査の町丁目データ未公表。確定した公表予定日も示されていない

数字そのものは無料で公開されていて、粒度も町丁目まで下りられます。実務で効いてくるのは数字の入手可否ではなく、区分名の取り違え・秘匿による虫食い・割合の平均し方・時点のずれという4点の扱いだ、という整理になります。

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