マイマップにエクセルの住所を取り込めない原因と対処 — エラー・2,000件上限を整理
顧客リストや訪問先リストをGoogleマイマップに入れようとして、途中で止まる。ファイルを選んでも読み込まれない、一部の行だけピンが立たない、件数が多くて入りきらない、といった場面です。ここでは、マイマップへのインポートが止まる場所を5つに分け、それぞれの原因と無料でできる対処を論点ごとに整理します。
インポートの基本の流れは顧客リストを地図にプロットする方法で扱っているので、本記事は「取り込めない・エラーになる・件数が多い」場面に絞ります。
| 止まっている場面 | 読む場所 |
|---|---|
| ファイルを選んでも読み込まれない | 論点1 |
| 一部の行だけピンが立たない・エラーになる | 論点2・論点3 |
| リストが2,000行を超えている | 論点4 |
| スマホで編集できない | 論点5 |
| 顧客の住所を載せてよいか、共有設定が不安 | 論点6 |
論点1:ファイルそのものが読み込めない
症状
レイヤの [インポート] からファイルを選んでも先へ進まない、または取り込みに失敗する、という状態です。
原因と見分け方
マイマップの公式ヘルプに書かれているファイルの条件は次の4つです。手元のファイルをこの順に照らすと、どこで外れているかが分かります。
| 条件 | 公式ヘルプの記載 | 手元での確かめ方 |
|---|---|---|
| 形式 | CSV・TSV・KML・KMZ・GPX・XLSX・Googleスプレッドシート | ファイル名の末尾(拡張子)を見る |
| 見出し行 | 「ファイルの先頭行にタイトルが含まれている必要があります」 | 1行目が「会社名」「住所」などの列名になっているかを見る |
| 行数 | 「行数が 2,000 を超えるファイルはインポートしないでください」 | 最終行の行番号を見る |
| サイズ | KML・KMZは最大5MB、その他は最大40MB | ファイルのプロパティで容量を見る |
形式の一覧に、古いExcel形式の.xlsは入っていません。拡張子が.xlsのファイルは、Excelの「名前を付けて保存」でXLSX(Excelブック)を選んで保存し直すと、形式の条件に合います。
見出し行でつまずきやすいのは、1行目に表のタイトル(「2026年度 顧客一覧」など)や空行が入っていて、列名が2行目以降にあるファイルです。1行目が列名になるように上の行を削ると、条件に合います。
公式ヘルプのトラブルシューティングに挙がっているのは、ファイルの形式が正しいことの確認、Googleドライブの許可、WKTを使う場合のラベル付けの確認、の3点です。Googleドライブの許可を求める画面が出たまま進まない場合は、許可の操作が済んでいるかが確認点になります。
対処
- .xlsのファイルは、XLSXで保存し直す
- 1行目を列名にする(タイトル行・空行を削る)
- 2,000行を超えている場合は分ける(論点4)
論点2:一部の行だけエラーになる・ピンが立たない
症状
ファイルは読み込めたものの、行数とピンの数が合わない、ピンが立たない行がある、という状態です。
原因
公式ヘルプによると、マイマップが位置を決めるために使える情報は、緯度と経度の情報、住所、場所の名前、WKT形式の図形データのいずれかです。住所の列を選んだ場合、場所を決める手がかりはその列の文字列だけになります。
見分け方
ピンが立たなかった行を元のExcelで開き、位置に選んだ列の中身を見ます。次のような行は、列の文字列だけでは場所が1つに決まりません。
- 空欄、または「同上」「不明」などの文字が入っている
- 住所が複数の列に分かれていて、選んだ列には一部しか入っていない
- 都道府県や市区町村が省かれ、町名から始まっている(「本町1-2-3」など、全国に同じ町名がある書き方)
対処
- 住所を1つの列にまとめる。都道府県・市区町村・番地が別々の列にある場合は、Excelで
=A2&B2&C2のようにつないだ列を作り、その列を位置の列に選びます - 都道府県から書く。都道府県が抜けている行に補うと、同じ町名の別の場所と区別できる住所になります
- 住所ではなく緯度経度の列で取り込む。公式ヘルプは、位置の情報として緯度と経度を使えるとしています。住所の文字列に頼らずに場所を指定する方法です。緯度経度の用意のしかたは論点3で整理します
直したファイルを取り込み直すと、新しいレイヤとして追加されます。インポートのたびに新しいレイヤが作られる、というのがマイマップの仕様です。
論点3:緯度経度の列を用意する
論点2の対処の1つが、住所の代わりに緯度経度を位置に使う方法です。住所から場所を探す工程を取り込みの前に済ませておくので、どの行の場所が決まらなかったかを、マイマップに入れる前に把握できます。緯度経度を用意する手段を、件数の少ない順に並べます。
数件〜数十件:Googleマップで1件ずつコピーする
Googleマップの公式ヘルプによると、PCでの手順は次の通りです。費用はかかりません。
- Googleマップで住所を検索し、地図上の目的の場所を右クリックする
- ポップアップの上部に、緯度と経度が10進数の形式で表示される
- その緯度と経度をクリックすると、座標がコピーされる
- Excelの行に貼り付ける
1件ごとに場所を目で確かめられるので、位置の確かさは高い方法です。件数が増えると時間がかかります。
件数が多い場合:東京大学CSISのCSVアドレスマッチングサービス
東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)が公開しているCSVアドレスマッチングサービスは、住所の入ったCSVをアップロードすると、緯度・経度の列を足したCSVが返るウェブのサービスです。公式ページには次のように書かれています。
- 出力に緯度・経度が追加される。変換の確かさを示す列として、信頼度(iConf)と精度レベル(iLvl)の2つの数値が付く
- 入力ファイルの文字コードは、シフトJIS・EUC・JIS・UTF-8(BOMなし)から選ぶ。出力の文字コードも指定でき、既定は入力と同じ
- 商用の利用は、FAQで可とされている。変換の誤りなどによる損害の責任は負わない、利用者の責任で使う、という条件が付く
- 法律や条例に反する目的、停止が人命に関わる目的(防災システムなど)、別のシステムに組み込んで利用者に説明せず提供する行為は不可
- メンテナンスなどのため、予告なく停止する場合がある
顧客の住所をアップロードすることになるので、個人情報の扱いは論点6と同じ確認が要ります。
選択肢の1つとして:タスデータ
このサイトのタスデータも、住所の入ったCSVをアップロードすると、緯度経度などの列を右側に足したCSVを返します。Freeプランは100行までです。全国の学校1万件で測った住所のヒット率は98.9%(2026年7月13日の実測)で、場所が決まらなかった行は「要確認」として返ります。地図に表示する機能は持っていないので、地図にする作業はマイマップ側で行うことになります。
Google Maps のAPIを自分で呼び出して緯度経度を取る方法は、料金と規約の確認が要ります。Google Maps APIのジオコーディング料金と規約で別に扱っています。方法ごとの比較は住所を緯度経度に一括変換する方法にあります。
論点4:リストが2,000行を超えている
症状
数千件のリストを入れようとして取り込めない、または一部しか地図に出ない、という状態です。
原因
マイマップ側の上限です。公式ヘルプに書かれている数値は次の通りです。
| 対象 | 上限 |
|---|---|
| インポートする1ファイル | 2,000行まで(公式の案内は「行数が 2,000 を超えるファイルはインポートしないでください」) |
| 1つのレイヤ | ライン・シェイプ・場所の合計2,000個 |
| 1つの地図 | ライン・シェイプ・場所の合計10,000個 |
| 1つの地図のレイヤ数 | 最大10個 |
対処:ファイルを分けて、レイヤごとに取り込む
インポートのたびに新しいレイヤが作られるので、ファイルを2,000行以内に分け、1ファイルずつ取り込めば、上の上限の中に収まります。手順は次の通りです。
- Excelで元のリストを2,000行以内のまとまりに分け、それぞれ別のファイルとして保存する。どのファイルにも1行目に同じ列名を入れる
- マイマップで地図を開き、地図の凡例で [レイヤを追加] をクリックする
- 新しいレイヤに名前を付け、[インポート] をクリックして1つ目のファイルを選ぶ
- 2つ目以降のファイルも、同じ操作でレイヤを足しながら取り込む
分け方は、行番号で機械的に切るより、都道府県・市区町村・担当者などの意味のある単位で切る方が、あとで使いやすくなります。レイヤには名前を付けられるので、「東区」「担当A」のように、どのレイヤにどの行が入っているかが凡例で分かるためです。Excelで該当の列を並べ替えてから切り分けると、作業が速く済みます。
分けても残る上限
レイヤは10個まで作れますが、地図全体の上限が10,000個なので、2,000行のファイルなら5つで地図がいっぱいになります。10,000件を超えるリストは、地図そのものを地域別などに分けることになります。
この上限はマイマップ側の制約です。緯度経度をどのサービスで用意しても変わりません。タスデータを使った場合も同じで、2,000行と10,000個の上限はそのまま残ります。
件数が1万件を超える規模で、知りたいことが「どの市区町村に何件あるか」「駅から近い順に並べたい」といった集計や並べ替えであれば、地図にせず、リストに列を足して集計する方法があります。顧客リストを地図にプロットする方法の後半で、目的ごとの分け方を扱っています。
論点5:スマホで編集できない
症状
外出先でスマホから地図を直そうとしたが、マイマップのアプリが見つからない、という状態です。
原因
Googleの公式ヘルプによると、Android向けのマイマップのアプリは、2021年10月15日でサポートが終了し、Playストアから削除されています。
対処
- スマホのウェブブラウザで mymaps.google.com を開く。公式ヘルプは、アプリの終了後もモバイルのウェブブラウザから引き続き利用でき、Androidアプリでできた操作はブラウザ版ですべてできる、と案内しています。インターネット接続が必要で、オフラインでは使えません
- 見るだけなら、Googleマップのアプリ。作成した地図は、Googleマップのアプリの [保存済み] タブの下部で確認できます
論点6:共有設定と個人情報
顧客リストや訪問先リストには、個人の氏名や住所が入っていることがあります。マイマップに取り込むと、そのデータはGoogleのサービス上に置かれます。取り込む前後で確かめておく点を3つに分けます。
共有の状態を取り込み直後に見る
公式ヘルプの「地図のアクセス権を編集する」によると、共有の設定は左側のパネルの「共有」から開きます。選択肢として、リンクの共有を許可する設定と、地図を公開する設定(誰でもその地図を検索できる状態)があります。取り込みが終わった時点で「共有」を開き、どちらも意図した状態になっているかを自分の画面で見る、という手順があります。
載せる列を絞る
地図で使うのは、位置を決める列と、ピンの名前にする列です。電話番号、メールアドレス、取引金額、担当者のメモなど、地図で見る必要のない列は、取り込む前のファイルから削っておく方法があります。元のExcelは残し、マイマップ用に列を減らしたコピーを作る形です。万一共有の設定を誤ったときに外へ出る情報の量が変わります。
社内のルールを先に見る
顧客の個人データを外部のクラウドサービスに置いてよいかどうかは、会社ごとの規程で決まっています。個人事業の場合も、顧客に示しているプライバシーポリシーの内容と食い違わないかが確認点になります。これは緯度経度を用意するサービス(論点3)に住所をアップロードする場合も同じです。
まとめ
- ファイルが読み込めないときは、形式(.xlsはXLSXで保存し直す)・1行目の列名・2,000行・サイズの4条件を順に照らす
- 一部の行にピンが立たないときは、位置に選んだ列を見る。空欄、列の分割、都道府県の省略があれば、住所を都道府県から1列にまとめる
- マイマップは緯度と経度でも位置を指定できる。少数ならGoogleマップで1件ずつ、件数が多ければCSVアドレスマッチングサービスなどで用意する
- 上限は1ファイル2,000行、1レイヤ2,000個、1地図10,000個、レイヤ10個。ファイルを分けてレイヤごとに取り込み、10,000件を超えたら地図を分ける
- スマホではブラウザで mymaps.google.com を開く。Android向けアプリは2021年10月15日に終了している
- 取り込みが終わったら「共有」を開き、リンクの共有と公開の状態を自分の画面で確かめる